幕末・明治期のパノラマ写真の多くは、カメラを置く位置を定め、ワンカットずつカメラを回転させながら撮影をしていました。そして、そのネガから印画紙に焼き付け、画像の端と端をうまくつなぎ合わせながら糊で印画紙を貼り合わせて、ひとつのパノラマ写真を作り上げていました。
幕末期は、高台や見晴らしのよい平地で撮影されましたが、写真機材は大きく、その場で現像までしなくてはいけなかったため、とても大変な作業でした。明治期は、高い建物の上から撮影されたものがほとんどで、足元が不安定で危険を伴いました。当時のパノラマ写真は、大変な苦労をして撮影し、手間をかけて作成されたものばかりなのです。
一枚ものの写真と比べるとパノラマ写真は、奥行や横へと視界が広がる感覚がプラスされ、実際に風景を眺めに行った時と同じような視覚を与えてくれます。時代を追って見てゆくと、江戸から東京へと移り変わる街並みの様子がよくわかり、時の流れを視覚的に感じることができます。
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add: 2021-01-22 / mod: 2021-01-22