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本企画は高校の教科書の「名作」に焦点を当て、国語教科書と日本近代文学館との橋渡しをすることを目ざすものです。今回は二回目として「山月記」を取りあげます。
「山月記」は1942(昭和17)年2月、「文学界」に発表されました。中島敦はこの作品で文壇にデビューしましたが、同じ年の12月に急逝しました。この「山月記」が高等学校の教科書に初めて掲載されたのは1951(昭和26)年。その後、次第に採用が増え、現在では国民教材と呼ばれるまでになっています。60年以上の長きにわたって教科書に採り続けられるのは、「山月記」が高校生を惹きつけてやまない魅力を持っているからでしょう。
本展覧会は、第一部では「山月記」を掲載している教科書の展示、「山月記」の典拠となった「人虎伝」やその他の「人虎伝」の翻案の紹介、中島敦作品の草稿や原稿、「山月記」から派生した創作の展示などを行います。また「山月記」を考えるヒントとして、教室でしばしば取り上げられる論点や、新しい論点を紹介します。第二部では中島敦の生きた時代の文学を紹介します。新感覚派、プロレタリア文学、モダニズム、植民地の文学などの昭和文学のトピックスを当時の雑誌や本で紹介しつつ、中島敦との接点を紹介します。
add: 2018-07-29 / mod: 2018-07-29