平成の30年の中でちょうど中間に当たるこの10年は、多くの識者たちや文化/社会評論において「00(ゼロ)年代」と呼ばれ、平成だけでなく20世紀/21世紀という大きな時代の区切り。そして、橋渡しとなった年代だとも言えます。
情報技術が飛躍的に向上し、世の中のほとんどの人が携帯電話やスマートフォンを手に持って自由にネットに繋がる中で、より個々人の趣味嗜好が細分化していき、政治や宗教、マスメディアといった大きな物語が後退し、人々は自分たちというコミュニティによる「小さな物語」を生きるのが当たり前になりました。
それに伴い、これまで「オタク」的、「不良」的だったものが普遍化し、かつてサブカルチャーと呼ばれた分野がポップカルチャーとして広がっていきます。時には奇異の対象とみられた漫画やアニメやゲームが「当たり前のもの」として広がっていきました。今回は、そんな「小さな物語」を?組織から個人への変容?セカイ系の系譜?都市と地方の分断?繋がりを生む情報技術という4つの軸から点と線によって結んでいく展示となります。