はじめに
序 危機の時間、二〇一一年三月
第1章 歴史の無気味さ──堀田善衞『方丈記私記』
第2章 鳥のさえずり──震災と宮沢賢治ボット
第3章 渚にて──「トポフィリ──夢想の空間」展に寄せて
第4章 希望の寓意──「パンドラの匣」と「歴史の天使」
I 歴史の経験
第1章 過去に触れる──歴史経験の諸相
第2章 アーシアを探して──アーカイヴの旅
第3章 半存在という種族──橋川文三と「歴史」
第4章 いまだ生まれざるものの痕跡──ダニエル・リベスキンドとユダヤ的伝統の経験
II 極限状況下の写真
第1章 剥ぎ取られたイメージ──アウシュヴィッツ=ビルケナウ訪問記
第2章 歴史の症候──ジョルジュ・ディディ=ユベルマン『イメージ、それでもなお』
第3章 イメージのパラタクシス──一九四五年八月六日広島、松重美人の写真
III 歴史叙述のサスペンス
第1章 迷い蛾の光跡──W・G・ゼーバルトの散文作品における博物誌・写真・復元
第2章 歴史素としての写真──ロラン・バルトにおける写真と歴史
第3章 歴史小説の抗争──『HHhH』対『慈しみの女神たち』
第4章 サスペンスの構造と歴史叙述──『チェンジリング』『僕だけがいない街』『ドラ・ブリュデール』
第5章 歴史という盲目の旅──畠山直哉『気仙川』を読む
IV 歴史叙述者たちの身振り
第1章 歴史の現像──ヴァルター・ベンヤミンにおける写真のメタモルフォーゼ
第2章 記憶の色──ヴァルター・ベンヤミンと牛腸茂雄の身振りを通して
第3章 「歴史の場(ヒストリカル・フィールド)」の航海者──「写真家」多木浩二
結論 歴史における希望のための十のテーゼ
註/跋/書誌/図版一覧/人名索引/事項索引