コンセプト
新宿は戦後日本の復興の起点となった場所でもあり、商業都市として驚異的な経済発展を支えてきました。また、鉄道の結節点として世界で最も多く人々が日々交差しています。更に、近代的な摩天楼群と、思い出横丁のような戦後の名残りを残した地域が不思議なバランスで共存している希有な街でもあります。そして、新宿は様々な表現者の活動の舞台となってきました。渡辺克巳、森山大道などの写真家、大島渚、寺山修司、唐十郎などの映画、演劇人など。彼らは、この絶えず変化し猥雑さや活力を抱き続ける新宿の魔力に取り憑かれてきました。
ところが、巨大な都市であると同時にあまりに速い変化のスピードのため、かつてこの地がどのような場所であったか、現在はどのような状況で、また将来どうなっていくか、この地域に深く関わっている者にさえ掴みきれません。様々な出来事が埋没しやすい地域だと言えます。しかし、近年の戦争体験者の高齢化に伴い、当時の記憶を伝え続けることが困難になりつつある状況や、大都市化が進んで地域共同体が継続しにくい現状を考えると、何らかの形で新宿という都市の記憶、生活する人々、更には未来像をも捉え直し記録する必要があるのではないでしょうか。
今回、様々な分野で活躍する方々が新宿の過去、現在、未来を読み解きます。分野も現代美術、メディアアート、コミュニティデザイン、教育など多岐にわたります。インタビューや共同作業を通して地域の方々とその街の未来を考える者。地下構造や影などの要素を用いて、新宿を全く違った角度から記述し直す者。この地を映画の舞台と見立てて、独自のドキュメンタリーを構成する者。関わり方や表現手法も様々です。
彼らは、新宿という大都市に様々な手段で深く分 け入り、埋没した財宝(トレジャー)を発見する かのごとく、そこで体験したことを作品化してい きます。 都市を語る方法に一つの解がないからこそ、多面 的な語りが存在することに意味があります。この 新しいものが生まれる代償として消滅していくも のも多い新宿を、独自の手法で捉え直す5つの視 点と手法をお楽しみください。
キーワード
○地域社会 – Community
○調査 – Research
○記録 – Archive
プロセス
この展覧会の大きな特徴は「リサーチ」です。全ての参加者は、まず新宿をそれぞれの手法によってリサーチします。様々なレベルや解釈のリサーチが考えられますが、参加者は各自の解釈によるリサーチ方法を設定し、新宿という都市をより深く探っていきます。
次に一定の地域を決め、その地域に関連した作品制作やプロジェクト運営を行います。地域の範囲は参加者の判断に任されます。思い出横丁のような非常に狭い区域の場合もありますし、新宿全域を扱うということあります。
展示自体は新宿歌舞伎町シネシティ広場に設置される仮設コンテナ内を中心としますが、各参加者は必ず制作の過程も展示します。このプロセスの提示も一つの作品としてそれぞれの参加者がどのようなアプローチになるかが非常に興味深い点です。プレゼンテーションパネル、模型、映像、ドローイングなど、想像を超えた広範囲な表現が出てくる可能性を孕んでいます。
トレジャー・シティ展ディレクター 野口靖
開催期間
会期:2009年12月2日(水)〜12月15日(火)
時間:10:00〜18:00 (最終日は15:00まで)
会場
新宿歌舞伎町のシネシティ広場に輸送用コンテナを設置します。日本を代表する繁華街の真ん中に会場が出現します。この地において参加者が何を感じ、どのように作品に反映させるのでしょうか。
組織
主催:トレジャー・シティ展運営委員会/東京工芸大学
ディレクター:野口靖 noguchi_at_cloc.jp
アシスタントディレクター:大草あき ohkusa_at_treasurecity.net
協力(50音順):歌舞伎町振興組合、歌舞伎町タウン・マネージメント、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)、新宿区角筈特別出張所、新宿西口商店街振興組合、新宿歴史博物館、西新宿をよくする会、丸紅情報システムズ株式会社、武蔵野美術大学
add: 2009-11-28 / mod: 2009-11-28