※会期中の休館日 4月25日(火)、5月22日(月)・23日(火)、6月26日(月)・27日(火)
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明治維新後の日本は欧米諸国に追いつこうと富国強兵を目指し、西洋文化を積極的に取り入れることで近代化を推し進めました。食も例外ではなく、肉食や乳製品、パン食など西洋料理が、都市部を中心に次第に普及していきます。江戸末期に生まれ、明治・大正期を生きた文豪・森鴎外(1862〜1922)は、大きく食文化が変わる時代にどのような食生活を送ったのでしょうか。
本展では、鴎外の日記や書簡、作品、家族の回想から、食に関するエピソードを集めてみました。鴎外は美食家ではなく、食への強いこだわりはありませんでしたが、医学者として食を重んじたのはもちろんのこと、知的探求心から食文化に関心を寄せていたようです。食をとおして鴎外を見つめると、家族を大事にする姿、質素な暮らしを好む性格、宴席に垣間見える幅広い人物交流、官吏だからこそ出席した御陪食、自身が訪れた料理店を舞台にした作品など、その人柄や嗜好、業績まで横断的に見渡すことができます。
食生活は時代や地域、環境、個人の好みによって異なりますが、今も昔も私たちにとって欠かせないものです。遠い存在に思える鴎外も、食を通じて身近に感じるかもしれません。「鴎外の食」を一緒に味わってみませんか?