休館日:月曜日(7/18、9/19、10/10は開館)
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禅の教えを世界に広めた導師であり、精神と物質の差異を無化してしまう「霊性」という理念を提起して近代日本思想を刷新した鈴木大拙(1870-1966)。
晩年、アメリカで講義を行う大拙のもとに、この後、現代音楽に革命をもたらすジョン・ケージ、現代文学に革命をもたらすJ・D・サリンジャーなどが集った。大拙の教えは、正真正銘、現代芸術の一つの源泉でもあった。それは決して偶然ではなかった。
大拙の生涯の伴侶となったビアトリスは、東洋思想に淵源する近代の総合宗教、神智学を信奉していた。神智学もまた、精神と物質の差異を無化してしまう「心」から、さまざまな感覚にしてイメージ、色彩にして形態が発生してくる様を具体的に説き、絵画の主題として「抽象」を選んだ表現者たちに甚大なインスピレーションを与えていた。「抽象」と東洋思想が何重にも交錯するなか、ヨーゼフ・ボイスの作品群が、ナムジュン・パイクの作品群が、続々と生み落とされていく。
それだけではない。高等中学校以来の盟友である西田幾多郎の哲学、互いに無名であった頃に書簡を交わした南方熊楠の生物学、自らの後継者と考えていた柳宗悦の民藝など、大拙からの影響は、グローバルとローカルという区別を超えて、あらゆる表現ジャンルの区別を超えて、きわめて巨大である。本展は、鈴木大拙からはじまる表現の系譜、その未知なる可能性を、さらに未来へと切り拓いていくための試みである。
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