夏目漱石の『道草』を装幀した画家・津田青楓は、2020年に生誕140年を迎えました。
染色図案やプロレタリア美術運動への関与など、青楓の画業についてはこれまでにも検証が行われていますが、その文筆活動についてはまとまった研究は行われていません。
青楓は『ホトトギス』や『白樺』などの文芸雑誌に小説を発表し、生涯に20冊以上もの単著を刊行しています。
画家青楓のみずみずしい文章は、「翻訳ものを読むような新しさ」で漱石山房の門下生たちをも唸らせ、漱石山房への青楓の出入りもパリで書かれた青楓の小説を読んだ小宮豊隆による紹介で始まりました。
青楓は描くだけでなく、「書く」画家でもありました。
本展示では、漱石や漱石の門下生たちの本の装幀、漱石山房を描いた絵画に加えて、青楓の文章に着目して、漱石に最も愛された画家・津田青楓に迫ります。