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展覧会
01/28/2019(Mon)
- 02/08/2019(Fri)
文学部古文書室展 VI 「江戸時代の貨幣と人々の暮らし」
関東 慶應義塾大学アート・スペース
open 10:00 end 17:00

土・日・祝日休館
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 わが国における貨幣経済は、18世紀半ば頃から、都市部だけではなく農村部の人々にも広く浸透していったと言われています。関東地域でも、特産品生産や地場産業が勃興する中、河川舟運網や街道を通じて、「ひと」「もの」が移動し、江戸との間での密接な経済活動が繰り広げられました(「江戸地廻り経済」)。こうした動きは、人々の間での「お金」の支払いが日常的になされるようになったことにほかなりません。
 現代の私たちの中で、「お金」とまったく関わらずに暮らせる人は、まずいないでしょう。では、江戸時代はどうだったのか。その答えは、津々浦々のさまざまな人がお金に関わり、それに左右されながら暮らすようになっていた時代といっても良いのではないでしょうか。「読み書き・そろばん」を寺子屋で学んだことは、よく知られています。このことは、「お金」のやりとりがなされ、そのことを記す古文書が数多く伝存する事実と無縁ではありません。金額の計算ができ、得た情報を書面に記し、それらの内容をお互いに理解できる素養があったからこそ、支払決済が確実にできたのです。また、金属でできた貨幣を安全かつ効率的に運ぶ輸送手段などのインフラが整い、お互いにお金をやりとりできる社会の仕組みが整っていることが、安心してお金の授受ができる前提でもあったと考えられます。本展では、こうした社会的・文化的な条件を整えつつ、経済成長していった時期に、人々が「お金」との関わりを深めていた一端を、慶應義塾大学文学部古文書室が所蔵する関東農村部の古文書をもとに紹介するものです。
 今回の展示では、「お金」と暮らしの関わりを、5つのテーマに分けて提示します。テーマ1は、金貨・銀貨・銭貨から構成された「徳川幕府の貨幣制度(三貨制度)」。テーマ2は、幕府が設定した「貨幣の単位」。テーマ3は、村の人々がお金で納めた「貢租・運上金」。テーマ4は、人々が働いて「お金を稼ぐ労賃」。テーマ5は、関東農村部に貨幣経済が浸透した背景「商品流通」などです。
 古文書室が所蔵する史料群は、本学における経済史・経済思想史研究の土台を作った野村兼太郎博士(生没年:1896年−1960年)が収集したコレクションであり、そのため、どの1点を取り上げても、何らかの形で「お金」と関わる面があります。そして、江戸時代の「お金」をより身近に感じ取ってもらえるよう、今回の展示では、高校の教科書などで誰もが学んだ歴史的な事柄や現代に名残のある地名などにまつわる古文書を盛り込むこととしました。
 日々「お金」に泣き笑いしていた人々の息づかいを醸し出す古文書を通じ、「徳川ジャパン」の貨幣経済が、今日の私たちの暮らしの土台となっていることを体感してもらえたら幸いです。

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  • add: 2019-01-12
  • mod: 2019-01-12

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